よく考えたら1度も話題に上げてこなかったオーケストラの楽器配置の話。
そこら中で書かれているようなネタですが、自分なりに消化してみます。
楽器配置と言っても、細かいバリエーションは多種多用なのですが、大別すると「一般的な配置」と「対向配置」の2つに分けることが出来ます。ひとまずこの2種を取り上げます。
まずは一般的なものから。

弦楽器の並びに注目してください。左側から高音順に楽器が並んでいます。
この配置は20世紀の始め頃にストコフスキーという指揮者が考案し、世界中のオーケストラに浸透したものです。近い音域の楽器で固める事でアンサンブルを容易にし、音のまとまりを得る事ができると言う特徴があります。
続いて対向配置。

今日の配置が浸透するまではこちらの方が一般的でした。
こちらの配置はヴァイオリンが「対向」しています。
この配置の一番の利点は、曲中に1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンによる交互の掛け合いが有った時です。その際、対向配置では強力なサラウンド効果を聴衆にもたらします。
古典時代の音楽はこの配置を前提とした作曲も多いため、この配置でないと意図した効果を得られない曲と言うものも少なからず存在します。
ただし、その分アンサンブルの難易度が高い事が難点となります。この時代はオーケストラも今ほど大規模な編成では無かったので、この問題は大規模化した現在のオーケストラの方が顕著です。
ちなみに管・打楽器の配置は木管楽器以外はパターンが多数有ります。木管楽器だけはほぼこの配置。
トランペット、トロンボーンと打楽器に関しては舞台の奥行次第で位置が変わる事が多いです。少し狭ければ打楽器をトランペット、トロンボーンで挟むパターン。更に狭ければ打楽器を舞台左側へ避けて、右側にトランペット、トロンボーンを固めたりと柔軟に変わります。
最後にホルン。
紹介した図では通常配置と対向配置で左右逆に配置しましたが、そういう決まりが有るわけでは有りません。それぞれの配置で逆に置くこともありえます。
ホルンはベルを右手で持つ楽器で、舞台右側に配置するとベルは舞台のほぼ真後ろを向いてしまいます。そうすると客席に音が届きにくくなるので音量面でデメリットが発生します。ただし、ホールの反響を多く経由して客席に音が到達するため、こちらの方が音色に丸みを帯びやすいと言うメリットが有ります。演奏会場の特徴にも左右されるので、演奏曲の特徴によって決めるパターンも有れば「このホールならこちら側」というパターンも存在します。
この配置もあくまで一例です。
通常配置でもチェロとヴィオラの位置が入れ替わっていたり、伝統的に独自の配置があるオーケストラ、独自のコンサートホールなどパターンは多数あります。
独自の例を挙げると、ウィーン・フィルは伝統的に対向配置ですが、コントラバスは舞台の一番奥で横一列に並んで演奏します。管楽器群よりも更に後ろにコントラバスが並ぶ他では中々見る事の出来ない構図です。
実演を目にする機会があれば、そういった楽器の並びに注目してみるのも面白いのではないでしょうか。
次回はこれの続きで、オーケストラの編成規模や「上手」「下手」のお話をする予定。