ベートーヴェン 交響曲第1番(1800)
様々な傑作交響曲を産み出してきたベートーヴェン最初の交響曲。
ベートーヴェンなりの独自性もあるものの、当時の流行の最先端だったモーツァルトやハイドンの影響が色濃く残っています。知らずに聴いたらモーツァルトやハイドンの交響曲と言われても信じてしまうかも知れません。青年ベートーヴェンの新鮮さを感じる事が出来る一曲。
「運命」などに見られる様な深刻さはどの楽章にも無く、全編肩の力を抜いて聴く事が出来ます。
個人的には終楽章の爽やかさがお気に入り。最初の交響曲に一番シンプルな(調号の無い)ハ長調を選んだのも瑞々しさを感じます。
プロコフィエフ 交響曲第1番「古典交響曲」(1917)
音楽院時代にハイドンの曲を学んでいたプロコフィエフが「ハイドンが今でも生きていたら」と考えハイドンの技法を用いて作曲した曲。
ロマン派を経てオーケストラ編成が肥大化の一途を辿っていた時代ですが、この曲は編成もハイドンの時代に合わせてこじんまりとしています。また、ハイドンの作風・技法に倣った曲という事で、モダンな曲の多いプロコフィエフの中では大変明快で聴きやすい「古き良き音楽」的な趣きとなっています。
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第1番(1933)
プロコフィエフと同じくソ連の作曲家ショスタコーヴィチの第1番。
こちらは交響曲ではなく協奏曲ですが、20代の頃の作曲という事で若さ溢れる曲です。
ソロのピアノ以外にもトランペットの独奏が有るのがこの曲最大の特徴で、伴奏のオケも弦楽器のみとプロコフィエフの「古典交響曲」とは別の方向にコンパクトな編成。
ピアノが冒頭からベートーヴェンの「熱情ソナタ」のパロディを弾いたり、トランペットがすっとんきょうな合いの手を入れたり、沈鬱な曲が多めのショスタコーヴィチの中では大変軽妙な音楽です。ピアノ協奏曲第2番でもピアノ弾きなら誰でも知っているであろうハノンの練習曲のパロディを用いるなど、ショスタコのピアノ協奏曲はどちらもエンターテイメント性に満ちています。
ちなみに初演はショスタコーヴィチ自身のピアノによって行われています。
初演とは別テイクですが、自作自演の音源も2種類存在します。どちらも中々の名演。