ショスタコーヴィチ 交響曲第7番「レニングラード」(1942)
曲目解説は特集の際に書きました。

正直これ以上に書く事が見当たらないので、完全な手抜きですが、その際の文章をそのまま貼り付けておきます…。
第6交響曲の年に勃発した第二次世界大戦から2年後の1941年、ドイツが不可侵条約を破りソ連に侵攻を始めます。ドイツ軍により包囲されたレニングラード、ショスタコーヴィチはそこでこの曲を書き上げました。書き上げたスコアは重要機密扱いで軍により輸送され翌年3月臨時首都で初演されます。その数カ月後には、ロンドンやアメリカなどでも演奏されました。そして8月には包囲真っ只中のレニングラードでも初演が行われます。その初演はスコアは特別機による空輸で、前線に駆り出されていた楽団員も呼び戻され、ソ連軍がドイツ軍に対し猛攻をかけ一時的に敵の攻撃を止めさせたという徹底ぶり。
社会主義リアリズムと称し、国内の作曲家に国威発揚を促す作品作りを強要していたソ連当局ですが、この曲については強要などされておらず自らの愛国心の発露として作曲された様です。開戦直後にショスタコーヴィチは自らの意志で義勇軍へ入隊し最前線で戦う事を望みました。この才能を失う訳にはいかないと周囲の説得により断念していますが。この強い愛国心から作られた曲は結果として強いナショナリズムを持ち、社会主義リアリズムと強く結びつく曲となりました。
全4楽章編成。1楽章はボレロの様な形式で同じメロディーが何度も繰り返されます。このテーマが繰り返される度に暴力的に変化していく事で戦争の足音が近づいてくる事を描いています。この「戦争のテーマ」が最高潮に達した後、犠牲者の追悼の音楽が流れ、楽最後に再び微かに戦争のテーマが鳴る事でこの戦争がまだ終わっていない事が暗示されています。2楽章は平和な時代を回想する音楽。3楽章も似た趣旨ですが、2楽章が暗雲立ち込める中での瞑想的な回想なのに対して3楽章は強い祈りに満ちた激情的な音楽で音楽的には対称的なのが特徴です。4楽章で場面は再び戦争へと戻ってくるのですが、冒頭で流れる主題のリズム「・・・-」はモールス信号の「V」で、勝利の暗示とされています。このリズムはベートーヴェンの5番で有名な運命のリズムでもあり、静かに流れる主題でありながら何かしらの予感を感じさせます。その後、泥沼化していく戦争描写を経て金管による強烈な主題が演奏される事によりこの曲は圧倒的な勝利を持って幕を閉じます。
1楽章のボレロ地帯がとても有名なこの曲ですが、終楽章のクライマックスの圧巻ぶりは凄まじく、是非とも聞いて欲しい部分です。ショスタコーヴィチ全交響曲で1番長いと言うのが玉に瑕。
今回紹介しているNAXOSの動画では当時の状況写真なども紹介されており、初演の雰囲気をより味わいやすいものとなっています。
この動画は第1楽章だけなので、終楽章の紹介も兼ねてもう一つ動画を紹介しておきます。
開始位置を4楽章からにしてあります。
演奏途中の様になっているのは3楽章と4楽章が繋がっているためです。