どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 86

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クラシック音楽のCDなどの音源は録音方法によって大雑把に2種類に分ける事が出来ます。

ライブ録音とセッション録音です。

ライブ録音はその名の通り、演奏会の模様を収録したもので、セッション録音は録音スタジオや無観客のホールなどでテイクを重ねて作られます。

どちらの方式にもそれぞれ良さが有ります。

セッション録音はテイクを重ねる事で音楽的な完成度の追求が可能です。完成度の追求は音楽面に限らず、ライブでは目立ちすぎて設置できない様な位置だろうが自由にマイクの設置が出来るので、音質の面でも有利です。

一方のライブ形式は、一発勝負の世界なのでミスもあれば聴衆の咳も入り、音質でもセッションに劣りがちです。

しかし、ライブには一発勝負だからこそ生まれる緊張感が有ります。

良い演奏であれば聴衆のざわめきすら演奏に独特の空気を与え、演奏後には割れんばかりの拍手が華を添えます。セッションでこの熱気は中々作れません。

聴かせるべき相手が目の前に居るというのは、それだけで集中力が上がります。セッションでの演奏は丁寧であっても、熱が入りにくいのは確かだと思います。

当然ながら、熱の入ったセッションも有れば、気の抜けたライブだって世の中には存在しますが…。

またライブは演奏会と並行して収録出来るので、コスト面でも有利です。セッション録音が出来るだけの環境や財力の有る楽団というのは限られてしまいます。


それぞれに良さが有る以上どちらを選ぶかは好みの問題ですが、ファーストチョイスはセッションの方が聴きやすいのかなと。曲の勉強や細部を聴き込みたい時はセッションの音質が非常に役に立ちます。

名演奏のライブから入るのも悪い選択では有りません。しかし、演奏にどうしてもミスは有るので、特定のライブに聴き慣れた後にセッションの演奏を聴くと、ミスに耳が慣れて正しい演奏に違和感を感じてしまったりするのもご愛嬌。

音源を複数種類買うつもりが無いのであれば、セッションの方が無難でしょう。


ちなみに、ライブ演奏にも「セッション録音」は存在します。

基本は録った演奏そのままですが、致命的な演奏上のミスだったり、何かしらのノイズが演奏に混ざってしまった場合は該当箇所の差し替えを行う事が有ります。

その差し替えの音はリハーサルから持ってくるのが一般的です。また、複数回公演の場合は別の日の演奏から拝借する事も有ります。