クラシック音楽ではロマン派頃からそれぞれの調性に対してイメージがつく様になってきました。
調号が一つも付かないハ長調は、そのシンプルさから清廉なイメージとして良く用いられます。
例えば、プロコフィエフ作曲の「シンデレラ」の終曲では、長い長い調性の旅路の終着点としてハ長調を用いる事により純粋かつ永遠の愛を描きあげています。
この曲は以前コラムで取り上げたので、そちらを御覧ください。

どようのつちのひ 49
プロコフィエフのバレエと言うと「ロミオとジュリエット」が有名ですが、この曲も大変な名曲です。 プロコフィエフ バレエ音楽「シンデレラ」より 「愛をこめて」(1945) 皆さんご存知「シンデレラ」に基づいた全3幕50曲から...
一方で、ハ長調は力強く演奏する事で決然たる強い意志を持ちます。
という訳で、今回は個人的に格好いいと思うハ長調の音楽の結びを2曲紹介します。
どちらも長い曲ですが、紹介するのはそれぞれラスト1分くらいです。
長い曲は美味しい所から聞き齧るのも一つのアプローチ。
自分の場合は、クラシックに格好良さを求める部分も大きいので、こういった派手な場所から聴き始めて、気に入ったら全体を聴くというパターンも多々あります。
ブルックナー 交響曲第8番(1887初稿完成)
恐らく宇宙で一番格好良い「ミレド」
ブルックナーならではの重厚な金管の響きが堪能できます。
サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」(1886)
名オルガン奏者だったブルックナーがオルガンで得た知識を活用して重厚な金管の響きを作り上げた一方で、同じく名オルガン奏者だったサン=サーンスはオルガンをそのまま用いました。奇しくもほぼ同じ時期の作品です。
最後の最後でティンパニがメロディを担う格好良さ!
ちなみにこの2曲、両方共「ハ短調」の交響曲です。
○短調の交響曲は基本的に○長調で帰結します。
大抵の交響曲にはタイトルに調性が示されているので、初めて聴く曲でも調性の流れのヒントが曲名から読み取れる訳です。