チャイコフスキー 交響曲第2番「小ロシア」第4楽章(1872)
交響曲第2番はチャイコフスキーの全交響曲中で最も短い交響曲です。
この終楽章は派手な総奏や金管の出番も多く「豪華絢爛」という言葉がぴったり。
冒頭のファンファーレの後に出てくる主題が形を変えながら延々と繰り返されます。
(ちなみにファンファーレも主題の要素から構成されています)
…それはもう、ちょっとくどいと思うくらい。
チャイコフスキーの楽曲ではよく(?)ある事ですが、この曲のくどさは頭ひとつ抜けている様に思います。「フランチェスカ・ダ・リミニ」とかと良い勝負しそう。この曲が気に居るか否かは、このくどさが受け入れられるかどうかに集約されると言っても良いでしょう。
最後のコレでもかと言わんばかりの音型の繰り返しとそれに伴う盛り上がりもチャイコフスキーならでは。豪華絢爛な音楽の締めが単音に集約されるのも中々強烈。
あまり難しい事を考えずに聴けるシンプルさがこの曲の魅力なのかもしれません。豪華でありながら、主題自体は馴染みやすい素朴なものなのもポイント。
副題の「小ロシア」とはウクライナの旧称。
交響曲の主題にウクライナの民謡が用いられている事からこの愛称が付けられました。チャイコフスキー自身が付けた物ではありませんが、当時の著名な音楽評論家がチャイコフスキーに捧げた愛称と言う事で楽譜にもこの副題の記載が有ります。
今まで紹介した曲は初演の評判が芳しくない曲ばかりだった様な気がするのですが、この曲は初演から大成功だったそうです。
ただ、ウクライナの事を小ロシアと表現するのは現在では蔑称の意味合いが強いそうで、この曲の副題を「ウクライナ」と表記する例も稀に見かけます。