ベートーヴェン ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」(1804)
副題のワルトシュタインとは通称で、この曲を献呈された伯爵の名前。
出版時の表題は「ピアノフォルテのための大ソナタ」でした。
作曲時期としては交響曲第3番「英雄」とほぼ同時期で、作曲家の最初の転換期に当たる作品です。
3楽章構成ですが、2楽章からアタッカで3楽章に入ります。
解説によっては3楽章と呼ばず、2楽章のロンド部分などとも。
(アタッカ:次の楽章に切れ目なく繋がる事)
1楽章の同音連打が見せる疾走感も気持ちの良いものですが、瞑想に耽る2楽章から霧が晴れ、晴天の川の流れの様な3楽章への移り変わりが大変に美しいので聴いてみて下さい。2楽章[10:45-]と3楽章[14:19-]を繋ぐ天啓のG音(ソ)はただの単音とは思えない感銘を与えてくれます。
ベートーヴェンのピアノソナタは好きな曲が多いのですが、中でも「ワルトシュタイン」は、後期の超大作である第29番「ハンマークラヴィーア」と並んで一番好きな曲です。いつか「ハンマークラヴィーア」も取り上げるかもしれませんが、なにせピアノ曲とは思えない程長い曲(40分オーバー)なのでどうしたものか…。