どこかで聴いた事のある曲シリーズ。
シリーズと言いつつ次回が有るのか謎なのは毎度の事。
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(1867)
きっと何処かで聴いた事の有る曲(アルトバイエルンとか)
このシーズンになると大学オケで頻繁に練習&演奏する羽目になる曲です。
祝祭ムードにぴったりな雰囲気を纏った曲ですが、猫も杓子も状態で卒入学式で取り上げられるので賛助出演などであちこちで演奏すると少しうんざりする曲でも有ります。余談ですが、オケでは賛助出演の事をエキストラを略してトラと呼ぶのが一般的。
楽劇とはワーグナー考案したオペラの様式。「オペラより壮大だぞ」くらいのニュアンスで受け取れば良いかと思います。これと言った決まりごとは無い様です。また、タイトルのマイスタージンガーとは当時の手工業ギルドが与えた称号の1つで、直訳すると親方(マイスター)歌手(ジンガー)となります。日本的な「親方」からは想像しにくいですが、ギルド内に集まった職人たちが歌や詩の腕を競い合う文化が当時のドイツには存在していました。中世の没落貴族が宮廷を離れ都市に散らばって行った事がきっかけと言われています。
邦題では省略されていますが、原題のマイスタージンガーは複数形なので、「ニュルンベルクに居るマイスタージンガーたち」というのがこの曲のテーマ。全部を通すと4時間半程になる作品です。
大学向けの曲と言えばこんな曲もあります。
ブラームス 大学祝典序曲(1880)
この曲を卒入学式で取り上げる大学もあるので聴いた事が有る方も居るかもしれません。とはいえマイスタージンガーよりは圧倒的にマイナーポジション。
この曲はブラームスが大学より授かった名誉教授の返礼として書いた曲です。
良い曲なのですが、一般の演奏会でもあまり積極的には取り上げられません。ちょっと曲が楽天的すぎるのかもしれません。そのものズバリなこの曲より「マイスタージンガー」が好まれる理由も恐らくそこなのでしょう。
同じブラームスの序曲としては「悲劇的序曲」の方が人気でしょう。
名前の通り大学祝典序曲とは対極の様なムードの曲です。作曲時期も同じで、この対称ぶりも意図して作曲されました。