どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 27

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前回は卒業・入学シーズンの曲を選んだので、今回は「春」がテーマの曲を。

シューマン 交響曲第1番「春」より第1楽章(1841)

そのものずばり、春という副題付きの曲です。これはベートーヴェンの「運命」のように他の人に後付された副題ではなく、シューマン本人が付けました。

冒頭から
春の訪れを祝うような華々しいトランペットのファンファーレで始まります。ファンファーレの後すぐに陰り始めますがそれも束の間、徐々に盛り上がりを見せ明るく軽快な主題が現れます。そこからの1楽章は春の陽気をそのまま音にした様な明るく暖かい音楽が最後まで続きます。所々で少し物思いに耽る様な箇所もありますが、そのシーンも春の暖かさに包まれたもので、深刻さはあまり感じられません。

初稿では「春の始まり」という副題がついていました。他の楽章にも全て副題が付いているのですが、聴衆に曲への先入観を与えないためにという理由で後に削除されています。

2楽章は緩徐楽章で、暖かさの中でまどろんでいるような美しく幻想的な音楽。初稿では「夕べ」という副題がついていました。アタッカで3楽章に突入します。

3楽章の初稿での副題は「楽しい遊び」。暗いスケルツォで開始するので、他の副題に比べると少し違和感を感じるタイトルかもしれません。しかし、しばらくするとアップテンポの愉快な音楽へと移り変わります。コロコロと曲調が変わり、その中に混ざるシリアスな曲調もどこかおどけている様にも聞こえます。

4楽章の初稿での副題は「たけなわの春」。これはぴったりな副題でしょう。1楽章以上に春の訪れを全身で喜んでいる音楽です。日本で言う花見の宴会の様な感じ。酩酊感は無いのでちょっと違うかもしれませんが。

4楽章には当時既に作曲済みのピアノ曲「クライスレリアーナ」の終曲のモチーフがそのまま使われていたりします。クライスレリアーナもとても良い曲なのでいつか紹介できれば。


ここまで紹介しておいてなんですが、実は私はこの曲が少し苦手です。
なんというか、のろけ話を延々と聞かせられているような恥ずかしさが。あまりに明るすぎて直視(直聴?)出来なくなったりします。

それでもたまには聴きたくなるのが不思議な所。この頃やっと暖かくなって来た事ですし、春の気分に浸るには丁度良い曲なのではないでしょうか。

最後に終楽章まで続きの動画を紹介しておきます。