どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 28

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ラヴェル「ラ・ヴァルス」(1920)

日本語で聞くと何やら洒落たタイトルですが、意味する所はただのワルツです。

ワルツと言うと優雅な舞踏会の様な情景を思い浮かべる方が殆どではないでしょうか。この曲のベースはウインナーワルツ。ワルツの中でもとりわけ華やかなイメージが有ります。

ですがこの曲と来たら冒頭から怪しい低音が鳴り響く有様。この曲は1920年の作曲。時は既に20世紀。第1次世界対戦によりオーストリアで繁栄を築いたハプスブルク家も滅びました。徐々に現れて来る美しいウインナーワルツは過去からやって来たもの。美しさの裏にガラス細工の様な脆さを感じさせます。

実際美しいウインナーワルツの時間はあまり長くは続かず、頻繁に曲調が変わります。しかしどんなに曲調が変わっても、3拍子のワルツを頑なに維持している事がこの曲が「ラ・ヴァルス」たる所以でしょう。

最後は狂気じみた盛り上がりを見せた後、唐突に終わってしまいます。

ウインナーワルツへのノスタルジーを漂わせつつも明確に感じ取れる20世紀への時代の変化。この曲はウインナーワルツが見た走馬灯なのかもしれません。