どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 30

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「練習について」

私は極度の練習嫌いです。
練習が嫌いすぎて、一生練習しないで済む様に猛練習をする程度には。

何か矛盾しているような気もしますが、練習が嫌いなのは本当で、不要な練習はしたくありません。そこを自分なりに突き詰めていった結果、効率的な練習を見いだせるようになってきたのかなと感じています。

あまり参考にならないでしょうが、自分の例を紹介します。
先に言っておきますがアマチュア向けです。


まず最初にその日吹こうと思っていた曲を吹きます。好きなだけ。
その際、自分にとって難易度の高い曲でも良いのですが、何曲かは吹き慣れた安定して演奏できる曲を入れておくと良いと思います。
ロングトーンなどのウォームアップはしません。

強いて言うならこの好きな曲を適当に吹くのがウォームアップです。

どうでしょう、吹き慣れた曲くらいはいつも通り吹けましたか?

本当に「いつも通り」吹けましたか?

どんなに吹き慣れた曲でも少し集中して自分の音を聴いてみると、何か気づく事が有るんじゃないかなと思います。「普段と比較して早いパッセージで音がかすれる」とか「今日はこの指の動きが悪い気がする」とか。逆に「普段よくミスする箇所が今日は上手く行ってる」とか。吹き慣れた好きな曲だからこそ気付けるポイントというのが有るのでは無いでしょうか。

そうしたポイントをピックアップして、その後の練習で取り上げます。

運指が悪ければ指の練習、音程が悪ければチューナーとにらめっこ、音色が悪ければロングトーンなど。練習は可能な限り単純化するのがおすすめです。

例えばフルートでソ→ソ#のスラーがレガートにならないと感じたら、そこしか練習しません。左小指に神経を集中させて、自分が意識した様に指が動いているかを徹底的に確認します。意識的にやってみてOKであれば、無意識に出来るかを先程の曲で確認します。もしそれでも上手く行かない様であれば、それぞれの音のロングトーンで確認する、それでも駄目なら楽器の構え方を確認する、楽器を置いて腹式呼吸だけやってみるなど、可能な限り単純化して、その単純化した要素に神経を集中させます。

余談ですが学生時代、部室での個人練習で一人だけ楽器も持たずに延々と椅子に座って呼吸だけしていた事が有ります。傍から見れば妙な光景ですが、当の本人は至って真面目に、息の流れを確認しておりました。

個人的に考える練習で一番大切な事は、普段無意識で行っている要素を意識的に行う事です。意識できれば出来るほどそれは良い練習だと思います。

演奏中などは全てを意識し続けることは不可能なので、最終的にはその意識した要素を再度無意識へと落とし込みます。その為に大事なのが反復練習です。反復練習の意義はそういう所に有ります。ただ闇雲に繰り返すだけでは何の効果も無いどころか悪い癖を定着させかねません。

あまり具体的な練習法は書けませんが、自分に足りないものを自分で考え、それを補う為に行う練習と言うのは十人十色の話で、具体的にどうこう出来る物では無かったりします。

当然ながら、音の良し悪しも分からない初級者に要求しても出来る事では無いので、これはある程度楽器に慣れてきた人向けの話だし「自身の演奏を聴く耳」を持っている事が大前提です。

さらっと言ってしまいましたが、実はこの「聴く耳」が一番難しい話で、こればかりは様々な演奏を聴く、録音して自分がイメージした音になっているか確認する、
先生に師事して具体的に良し悪しを教授してもらうなどの事を日頃から心掛けるほか有りません。良いと思った演奏をちゃんと覚える事、先生に褒められた時の自身の音や身体の使い方を覚える事、色々な良いものを記憶して取り入れていく事が大事です。

意識的に継続して行けば、自身の演奏中に自身の音楽の状態にも気付けるようになってきます。それがそれが出来るようになると練習は勿論の事、アンサンブルも格段に楽しくなりますよ。


「自身の演奏に耳を傾け問題点を修正する」というこの練習方針、考えてみれば大抵の練習曲や入門書には書いてある話で、それが出来るように教本ではとても簡単な曲が載っています。フルートで言えばソノリテ(教本の名前)の理念とも似ている気がします。

そういった事を自分の好きな曲でやろうよ、と言うのがこの話の主眼です。
アマチュアなんて好きな曲を吹いてナンボみたいな物なのだから、退屈な教本よりも好きな曲で課題を見つけて練習する方が楽しくないですか?

ちなみに、ウォーム無しでいきなり曲を吹き始める理由は「ウォームしてから曲を吹く習慣が付くと、ウォームしないと曲が吹けなくなるから」という少々ひねくれた理由です。ウォーム無しで吹けるならそっちの方が良いでしょ。幸い、ウォームしないと怪我をする類の活動では無いので…。