どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 32

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今回も1曲紹介。

バラキレフ 東洋幻想曲「イスラメイ」(1869年)

曲名の通りエキゾチックな雰囲気を纏った曲です。
冒頭から特徴的な主題が単旋律で鳴り響くのがとても印象的で、この主題が様々な変化を伴って何度も現れます。

この曲は作曲家がコーカサス(カフカス)地方へ旅行へ行った際、現地の舞曲から着想を得て作曲されました。舞曲がベースということで、冒頭から終盤までは16分の12拍子(この拍子も頻繁に見る事は無く特徴的)の舞曲風で展開されていきますが、最後はその体を捨て、4分の2拍子で加速し一気に最後まで突き進んでいきます。

個人的にはベリーダンスの踊り子が汗を振り乱して踊っているようなイメージが思い浮かびます。ベリーダンスはコーカサス地方より中東よりのダンスだから違うんだけれども。コーカサス地方の衣装は人種文化が入り乱れる地域なので一概に言うことは出来ませんが、山地が近い関係で全体的に分厚い装束ですね。

ちなみにこの曲、数あるピアノ曲の中でも屈指の難曲と言われており超絶技巧の持ち主で有ったバラキレフ本人でさえ「手に負えない場所がある」と認めています。初演は作曲家と同時代のロシア最高のピアニストと言われたニコライ・ルビンシテインによって行われました。

楽譜はIMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)で公開されているので興味を持った方は是非。

原曲はこのピアノ曲ですが、後に別の人の手で管弦楽編曲版なども作られています。


ピアノ曲をよく聴く方はこの曲を「リストっぽい」と思われるかもしれません。バラキレフはリストとほぼ同時代の作曲家で、リストの影響を強く受けていました。交流も有った様で、リストはこの曲を指慣らしに使っていたという逸話も残っています。屈指の難曲もリストにかかれば練習曲。

このコラムでリストはまだ取り上げていなかった気がするので、近々取り上げようかな。