どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 38

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息を無限に吐き続ける方法

管楽器奏者にとって息は有限のリソースです。
演奏中、どこかキリの良い場所で必ず息を吸わねばなりません。
その呼吸がフレーズ感を生んだりと良い面も有りますが、長いフレーズでどうしても息が続かない事を経験した人も多いと思います。
可能ならば潤沢に息を使える身体が欲しいものです。

肺活量を上げる?息を吐く量を極限まで節約する?
いっそ無限に息を吐き続ける事が出来るなら…。

出来るんです。

「循環呼吸」と言う技術が有ります。
その名の通り息を吐きながら吸う技術です。
人間にそんな事出来るのかと思われるかもしれませんが、ご想像の通り不可能です。
これは「循環しているように見える呼吸」なのです。

一番のポイントは息を吸っている最中の息の吐き方にあります。

まず頬を膨らませて息を溜めます。この状態でも鼻で息が吸えますよね?
その状態で口を開ければ「口で息を吐きながら鼻で息を吸う」状態の出来上がり。口の中の息が無くなったら肺からの息に切り替え、また口の中に息を溜め直す。
これが循環呼吸の原理です。

やっている事はかなり単純なのですが、楽器に応用するとなると中々の難易度です。

ある程度のセオリーは有るものの、やり方は個人によって様々です。
先述の通り頬を膨らませて息を溜める人、舌を押し下げて口内の下の辺りに息を溜める人など。
私は後者の方法でやっています。自分のものは実用レベルとは言い難いものですが…。

口だけで息を吐いている間は腹筋による息の支えを失うので、基本的にその間の音質は低下してしまいます。通常の呼吸と循環呼吸の息の切り替えもスムーズに行う事が要求されるので、実用へのハードルはかなり高いです。

ちなみに、
フルートなど息の圧力で音を出すタイプの楽器では難しく、リード楽器や金管などの振動で音を出すタイプの楽器は比較的やりやすいと言われています。それでも十分に難しいのですが。


珍しい技術の様に書いてしまいましたが、管楽器の人にはわりとポピュラーなネタなんじゃないかなと思います。
コップにストローを挿して延々と水をブクブクさせたりとか、やった事のある方も多いのでは?