暑い日が続きますね。
海の日も近いということで今回は海や水にまつわる曲を。
ドビュッシー 「 海 – 管弦楽のための3つの交響的素描」 より
第1楽章「海の夜明けから正午まで」(1905)
1曲目はそのものズバリ「海」ドビュッシーの代表作です。
交響詩と表記される事もある標題音楽で、その標題音楽の中でも情景描写に特化した音楽。絵画で言う所の「印象派」の様な曲です。絵画の印象派が発展したのが19世紀後半のフランスで、フランス人のドビュッシーも多大に影響を受けたことでしょう。
「海の夜明けから真昼まで」という妙に直接的なタイトルも曲を聴けばその意味が分かるのではないでしょうか。
この曲の楽譜の初版には北斎の「神奈川沖浪裏」の様な画が用いられています。北斎の波の描写にもドビュッシーは強く影響を受けた様です。

<余談>
この曲の初演に立ち会ったドビュッシーの親友かつ皮肉屋だったサティは「◯◯時◯◯分の所が良かったよ」という言葉を残しているのですが、いざ何時だったかを調べ直してみると「11時45分」「11時15分」「10時45分」「10時半から10時45分」と色々出てくる有様。「11時15分」と言うのは英語の「quarter to eleven」の勘違いの様な気がするので、恐らく一番詳細(?)なコメントの「10時半から10時45分」が一番信頼できそうです。
ただし、10分程度の曲に「夜明けから正午まで」が全てが収まっているはずがなく、正確なコメントが分かったからと言ってサティがどの部分を指していたのかは分かりません。タイトルの割に正確な時間は分からない事に対してのサティなりの皮肉なのでしょう。
リスト 巡礼の年 第3年 より「エステ荘の噴水」(1877)
最期に涼しげな水の曲。
ドビュッシーから100年ほど前、交響詩の始祖リストの晩年の作曲で、祈りに満ちた曲の多い晩年の中ではきらびやかで明るい曲調です。大量のアルペジオ(分散和音)の1音1音が噴水の飛沫を連想させるとても美しい曲です。
この曲にもドビュッシーは多大な影響を受けています。