「クラシック音楽の俗称」
クラシック音楽にも身内レベルのローカルネタから割と広く浸透しているネタまで様々な俗称が有ったりします。
ベートーヴェンの「運命」とかショスタコーヴィチの「革命」なんかも作曲者本人が付けたものではないので一応俗称という事になりますが、今回はもっともっと俗っぽいレベルのお話です。
その中でもトップクラスに有名だと思われるのが「チャイ5のドラえもん」
ちゃんと聴くとそんなに似てる訳じゃないのですが、通りが良いので結構使われてる印象です。
チャイコフスキー 交響曲第5番(1888)
(該当箇所は動画内9:33頃から)
この部分がネタにされる理由は他にも幾つかあります。
このドラえもん地帯、木管楽器が延々と吹いているのですが、休符が無くて地味にきつい箇所という事。
そして、ここの直前の箇所が「フライングブラボー」の鬼門なのです。
フライングブラボーって曲の最後の音の余韻が残っている状態でする拍手やブラボー行為の事を基本的には指すのですが、曲中の大休止で拍手する行為の事も大抵フライングブラボーと言います。フライングも甚だしいレベルですが。
チャイコフスキーの5番は人気曲でプロ・アマ問わず演奏機会が多い分その頻度も余計に目立つ事に。そのせいで、舞台上に居ても客席に居てもこの部分の直前は身構えてしまいます。
曲を知らないのであれば指揮者がタクトを完全に下ろすまでは何もしない方が良いでしょう。
もうひとつ「ドラえもん」と言われる曲を。こっちはややマイナー。
ドリーブ 「シルヴィア」より 「バッカスの行進」(1876)
曲始まってすぐのトランペットのファンファーレを指して言われます。
バッカス神へ収穫を捧げる村人の音楽なのですが、酒の神らしく何処か酩酊感のあるどんちゃん騒ぎが楽しい曲です。
おまけ。
本題とは逸れるのですが、自分が経験した一番酷いフライングブラボーのお話。
ショスタコーヴィチ 交響曲第1番(1926)
とあるプロオケの定期演奏会での事。
終楽章にティンパニのソロ(動画内31:07)が有るのですが、その直前の静寂で大声でブラボーを叫ばれてしまいました。
(この映像、ソロ前に音を避けるために身をかがめる金管奏者達がちょっと面白い)
聴いてる側としても堪ったものではありませんでしたが、一番可愛そうなのはティンパニ奏者です。この曲でティンパニの一番の見せ所は間違いなくここですからね。
ショスタコーヴィチくらいの時代になると、曲が少し複雑になってくるので曲の終わりも分かりにくいのかもしれませんが、分からないなら分からないなりの聴き方を学んでいただきたいものです。
それにしても、これ以上酷いフライングブラボーは今後経験できる気がしないですし、したくもありません…。