ホルスト 組曲「惑星」より「火星(戦争をもたらす者)」(1914)
「惑星」はイギリス作曲家ホルストの代表作。「火星」はその中の1曲目。
冒頭の打楽器群の連打に弦楽器のコル・レーニョ(楽弓の木の部分で弦を叩く奏法)を合わせた5拍子のリズムが特徴的。金管の咆哮が曲中に轟く荒々しさが前面に出た曲です。
「惑星」の名の通り組曲の中には他にも惑星の曲が有ります。
一番有名なのは「木星」でしょう。
ホルスト 組曲「惑星」より「木星(快楽をもたらす者)」(1914)
とある歌手がこのメロディーを元に作った曲が一時期流行りましたが、ホルストが生前この組曲に対して編成の変更や部分演奏の禁止など厳格な要求をしていた事、更に作曲家の居た英国内では著作権が切れていなかった為(日本では著作権が切れていた)界隈でちょっとした騒動になりました。
他にも「水星」「土星」「金星」「天王星」「海王星」が有ります。
どの曲も独特の音響感を持ちつつも、いわゆる「現代音楽っぽさ」は控えめで20世紀の曲の中ではかなり聴きやすい曲となっています。
また「地球」が曲中に無いのは占星術がテーマだからです。
あれ「冥王星」は?と思われるかもしれませんが、冥王星の発見は1930年。組曲の作曲よりも後の事でした。冥王星発見後、作曲家の手によって追加の作曲も行われたのですが、作曲途中で脳卒中に倒れ完成すること無く1934年に亡くなっています。
2006年に冥王星は惑星の枠から外れてしまったので結果オーライなのかもしれません。
ちなみにその「冥王星」ですが、2000年にコリン・マシューズという別の作曲家によって追加もされています。作曲家自身の作曲では無い事や元の組曲の終盤の改変などによりこの曲に対する批判も有りますが、英国内ではよく演奏されているようです。