どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 47

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ショスタコーヴィチ 交響曲第9番 第1楽章(1945)

以前コラムで「第9の呪い」について書いた事がありました。

どようのつちのひ 16
クラシック界隈には「第9の呪い」と呼ばれる話が有ります。 交響曲を9つ書くと死ぬと言う作曲家のジンクスです。実は厳密にこのジンクスが適用される作曲家というのはあまり多くないのですが、交響曲の大家が交響曲を9曲程度書いた頃に亡くなっているの...

今回紹介するのは、そのコラム内で取り上げたショスタコーヴィチの交響曲第9番。

9番は7番、8番と併せて戦争3部作などとも言われています。
7番「レニングラード」は副題の通りレニングラード包囲戦の市民の抵抗と勝利を描き、8番では戦争の凄惨さを内向的に描きました。

7番、8番と全体的に暗めで激しい大曲が続き、「第九」はさぞ立派な曲になるのだろうという周囲の期待を背負いショスタコーヴィチは「戦争の勝利」をテーマに掲げて9番を書き上げました。

出来上がった曲は聴いての通りの軽妙な曲。
良く言えば終戦の祝祭ムード。何度も出てくるトロンボーンの合いの手はウオッカ片手に乾杯の音頭でもしているかの様な呑気さを感じます。1楽章は終始そんな調子で、他の楽章には暗い部分も有るには有るのですが、全体で見ると本当に軽いノリの楽天的な曲です。

初演は概ね好評に終わりましたが、大曲を期待したソ連当局の怒りを買い、ショスタコーヴィチは後に当局から公に批判される羽目になってしまい、粛清の瀬戸際まで追い込まれます。

大曲を勝手に期待したソ連当局が悪い話なのですが、曲開始からいきなり軽妙な曲が流れてきたら流石に面食らいますよね。ベートーヴェンの第九の劇的な冒頭を知っていれば尚更です。

ベートーヴェン 交響曲第9番(1824)