今回は音名のお話。ショスタコーヴィチは今週はお休みです。
音名、その名の通り音の名前です。
一番馴染みが有るのは「ドレミファソラシド」でしょうか。日本でごく一般的に用いられている為、てっきり日本固有のものかと思いがちですが、これはイタリア式の表記です。
クラシック音楽というとベートーヴェンやブラームスらのドイツが主流と思われるかもしれませんが、そのクラシック音楽の前身となったグレゴリオ聖歌の発祥はローマでした。その為、音楽用語は今でもイタリア語が使われています。
では日本式の音名はと言うと「ハニホヘトイロ」となります。音を示す時に単体で使う事は今ではあまり有りませんが、ハ長調などの調性やト音記号などで耳にしますね。
また、ギターのコードなどに馴染みが有る方はアメリカ式の「CDEFGAB」も馴染み深いかと思います。
次にドイツ式音名。こちらは「CDEFGAH」です。
アメリカ式と似ていますが、シの音だけが違います。文字にすると少し厄介ですがドイツ式は発音が「ツェー、デー、エー…」となるので区別は付きます。またアメリカ式はC#、E♭などと表記するのに対し、ドイツ式はそれぞれCis、Esと表記するのでその辺でも判断が出来ます。実際の所、クラシック音楽だと主流はドイツ式なので困ったら十中八九こっちです。
ちなみにドイツ式にもBは有って、シ♭がBになります。馴染みが無い方だとわけが分からなくなりますよね。私も楽器を始めた当初はドイツ音名を覚えるのに一苦労した記憶があります。
ところで、西洋の音楽家の名前は当然アルファベット表記なわけですが、その名前のイニシャルなどをこの音名に当てはめて作曲をする事がありました。
一番分かりやすいのがバッハです。
バッハの綴りは「BACH」見事に全てが音名と対応します。この「シ♭、ラ、ド、シ」を主題にした音楽をバッハ自身も僅かに残して居ますが、本人以上に後世の作曲家がバッハの偉大な功績を称える意味でこの音型を用いて作曲した例が目立ちます。
音楽的な功績は勿論の事、たった4音で完璧に表される名前である事もバッハが敬愛される理由の一つだと思います。あまりに出来過ぎじゃないですか。
なぜこの話をショスタコーヴィチの楽曲解説の間に挟んだのかと言うと、ショスタコーヴィチが自身の名を用いた音で作曲をしているからです。
その話は次回に。
余談ですが、どうして「ドレミ」が「A」や「イ」から始まらないのでしょうか。
実は正確な理由は分かっていない様です。
ただ、音名の成り立ちが先でその際はAが基準音だったものの、後に発展した音楽理論によりCが基準になった事は確かな様です。