どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 61

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リスト 「巡礼の年」第2年「ヴェネツィアとナポリ」補遺より「タランテラ」(1861)

「巡礼の旅」は以前「エステ荘の噴水」を紹介した事がありました。

どようのつちのひ 40
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あれは第3年の中の曲で、今回のタランテラは第2年の補遺として後から追加された曲集の中の1曲になります。第3年はリストの最晩年の曲である一方、こちらはそれよりも20年ほど前の曲になります。

タランテラはイタリアはナポリの民族舞曲。同地方のタラントという街が名前の由来です。ちなみに毒蜘蛛のタランチュラも同じ由来で、タランチュラに噛まれて暴れ回る様を表現したとも、その毒を抜くために踊り続けた舞曲とも諸説伝えられています。

リストはタランチュラ由来の説を推していたのか(?)毒蜘蛛がカサコソ忍び寄ってくるかの様な不気味な暴れ方で曲が始まります。6/8のリズムの関係上6本脚みたいになってしまっていますが。 このカサコソ音型は直ぐに止まってしまいます。一瞬の静寂の後、再度展開されるタランテラはカサコソ音型から同音連打に切り替わります。タランチュラを見つけて逃げ惑っているのか、同音連打タランテラは人間がジタバタしている雰囲気があります。この後も音型は変化していきますがカサコソする様な音型と同音連打系の音型が交互に展開されて行きます。何故か徐々にロマンチックな追いかけっこになっていく所はリストならでは。そのロマンチックな流れで中間部のカンツォーネに入ります。このカンツォーネもイタリアの音楽です。ただこのカンツォーネも徐々にタランテラのリズムに侵食され、気づけば冒頭のタランテラ以上に荒れた音楽に。その勢いで最後まで突っ走って行きます。中間部は毒蜘蛛に噛まれてトリップしていたのかもしれません。

8分半程度の曲ですが、不気味だったりロマンチックだったり華やかだったりと様々な魅力の詰まった曲です。曲の難易度も非常に高く、曲集の中の1曲でありながら単体での演奏機会も多い名曲です。